37歳・IVFで授かった娘の記録|「数字」で振り返るオーストラリアでのIVF〜妊娠期(前編)

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📊「パーセンタイル」って何?

胎児の成長を語る時に必ず出てくる「○○パーセンタイル」という言葉。これが分かると一気に数字が読めるようになるので、先にサクッと解説します。

👉 パーセンタイル(percentile)とは、「同じ週数の赤ちゃん100人を小さい順に並べたら、下から何番目か」を表す数字です。

パーセンタイル意味評価
50thちょうど真ん中(平均的)標準 ✅
25th〜75th真ん中の50%に入るごく普通 ✅
10th〜90th多少小さい or 大きい正常範囲 ✅
10th未満下から10番目より小さい⚠️ SGA疑い
3rd未満下から3番目より小さい🚨 要精密検査
90th以上上から10番目以内⚠️ LGA疑い

例えば「8パーセンタイル」なら、同じ週数の赤ちゃん100人中、小さい方から8番目ということ。92人の赤ちゃんより小さい、というイメージです。

💡 大事なのは、パーセンタイルが低い=異常ではないということ。両親が小柄なら赤ちゃんも小柄になりやすいし、推移(31週11% → 34週8%)で下がっていくかどうかが一番見られるポイントです。

卵管閉塞・卵巣予備能低下という2つのハードルを越え、オーストラリア・メルボルンで体外受精(IVF)によって娘を授かった私の記録を、当時のカルテに残された「数字」だけで振り返ります。


🔢 まずはサマリー:この記事で出てくる主な数字

項目数字
IVF妊娠時の年齢37歳
妊娠理由卵管閉塞 + 卵巣予備能低下
出産までの妊婦健診約13回
超音波スキャン計7回以上
出産週数39週1日(予定日より6日早い誘発分娩)
娘の出生体重2,670g
入院日数本当は4泊5日の予定が5泊6日(2/7〜2/12)※後述
産科関連の自己負担(概算)約8,000〜12,000 AUD(≒80万〜120万円)

🏥 1. 不妊治療のスタート:卵管閉塞&卵巣予備能低下

妊娠にあたっての記録にはこう書かれています。

Reproductive Assistance: IVF (blocked tubes and reduced ovarian reserve)

つまり、

  • 卵管が詰まっている(自然妊娠が物理的に難しい)
  • 卵巣予備能が下がっている(残っている卵子の数・質が年齢以上に少ない)

この2つが揃うと、一般的にタイミング法や人工授精(AIH)ではほぼ妊娠が望めず、体外受精(IVF)が第一選択になります。

日本産科婦人科学会のデータでも、40歳の女性が1回の採卵あたりで出産に至る確率は約7〜9%と言われていて、年齢×卵巣予備能の低下は本当にシビアな数字です。その中で、37歳・初回妊娠(G1P0)で着床&心拍確認までたどり着けたのは、本当にラッキーな結果だったと今でも思います。


📅 2. 妊娠確定からのスケジュール:数字で見るオーストラリア産科ケア

主治医(Dr Leah Xu、OGCG=Obstetrics & Gynaecology Consulting Group)のプランはこんな感じでした。

週数内容
8〜10週1回目の診察
12週2回目
16週3回目
20週形態スキャン(アノマリー・スキャン)
24週健診
28週血液検査(妊娠糖尿病/鉄/ビタミンD)
30〜38週ほぼ毎週健診
39〜41週出産まで週1
産後6〜8週産後健診

👉 トータルで約13回の妊婦健診。日本の公費助成ベース(通常14回前後)とほぼ同じですが、オーストラリアは基本的に実費。健診1回あたり 50 AUD(≒5,000円前後)でした。

🔍「アノマリー・スキャン」って何?

妊娠20週に行われる「形態スキャン(Anomaly Scan)」は、この時期にしかできない超重要な超音波検査です。

「アノマリー(anomaly)」とは英語で「異常・先天的な形の違い」という意味。つまり「赤ちゃんの体に形態的な異常がないかを隅から隅までチェックする検査」のことです。日本では「胎児精密超音波」「中期スクリーニング」などと呼ばれます。

この1回の検査で、以下のような10以上の体の部位を細かく測定・観察します。

チェック項目見ていること
頭・脳脳室の大きさ、小脳、脳幹の形
唇・口蓋裂の有無、目の間の距離
首・皮膚後頚部の厚み(NF: nuchal fold)
心臓4つの部屋・大血管(4CV)
胸・腹部横隔膜・肺・胃・腸
腎臓・膀胱形状・尿の流れ
手足指の本数、骨の長さ
脊椎二分脊椎などの有無
胎盤・羊水・臍帯位置・量・血管数(3本あるか)
子宮頸管・子宮筋腫早産リスク、母体側の異常

👉 私の20週スキャンでの測定値(一部):

  • BPD(両頭頂骨間径): 47.8 mm
  • HC(頭囲): 171.4 mm
  • AC(腹囲): 148.0 mm
  • FL(大腿骨長): 28.6 mm
  • 後頚部皮膚厚(NF): 3.1 mm(6mm未満なら正常)
  • 子宮頸管長: 31.6 mm(25mm以上なら早産リスク低)

👉 なぜ20週なのか? 赤ちゃんの臓器がほぼ完成し、かつ動きやすい羊水量で全身をクリアに映せるのがちょうどこの時期。週数が進むと骨が邪魔したり狭くなったりして、見えにくくなります。

💡 ちなみに日本では保険適用外(自費1〜3万円)オーストラリアでは公的Medicareで一部補助あり。私はAUD $200前後(≒2万円)ほどを自己負担しました。


💰 3. 気になる「お金」の話:産科医との契約書から

妊娠契約書(Financial Consent)に書かれていた金額を正直に書き出します。

費用項目金額(AUD)円換算目安※
初診料(Item 16401)$270約27,000円
妊娠管理費(20週で支払い/Item 16590)$4,800約48万円
分娩費(Item 16519)$1,765約17.6万円
分娩費(Item 16522の場合)$2,055約20.5万円
妊婦健診1回$50 × 約13回 = $650約6.5万円
緊急帝王切開(アシスタントがOGCG医師の場合)$300約3万円

※1 AUD ≒ 100円で概算(実際は為替で変動)

👉 産科医への支払いだけで最低 約7,885 AUD(約78.8万円)。これに別途請求される:

  • 超音波検査(外部施設)
  • 血液検査(病理検査所)
  • 麻酔科医費
  • 小児科医の新生児診察費
  • 病院そのものの入院費(Frances Perry House)

Medibank Private(民間保険)でカバーできたのは一部だけで、妊娠・出産だけでトータル約8,000〜12,000 AUD(約80万〜120万円)の自己負担。「数字に強くなる」という意味では、この時期ほど家計簿を真剣に眺めた期間はありません…。


🩸 4. 血液検査の数値:妊娠中ってこんなに体が変化する

フェリチン(鉄の貯蔵量)の推移

時期フェリチン値基準値コメント
妊娠前(2016/02)30〜150 ng/mL正常範囲
妊娠24週79 ng/mL30〜150OK
妊娠30週10 ug/L 🚨15〜165重度の鉄欠乏
34週(鉄剤服用後)47 ug/L9〜136改善

推奨値:妊娠初期 >50 ug/L、後期 >30 ug/L
10 ug/Lは完全にアウトラインで、早産・低出生体重のリスクになると指摘されました。

🚨「10 ug/L」がどれくらいヤバいか、数字で体感する

フェリチン10 ug/Lという値は、単に「基準値を下回っている」どころじゃない、かなり深刻な鉄欠乏です。数字で見るとこういうレベル感。

フェリチン値評価症状の目安
30〜150 ug/L正常なし
15〜30 ug/L鉄貯蔵量の低下軽い疲労感
10〜15 ug/L鉄欠乏疲労・立ちくらみ・集中力低下
5〜10 ug/L ← 私の位置重度鉄欠乏息切れ・動悸・めまい・脱毛
<5 ug/L鉄欠乏性貧血の進行輸血検討レベル

👉 妊娠初期の推奨値は >50 ug/L、後期でも >30 ug/L。つまり私の「10」は、推奨下限の3分の1以下、正常中央値の15分の1という値でした。

🕺 余談:この時期、ズンバナイトで寝込んだ話

実はこのフェリチン10 ug/Lを叩き出す少し前、「ズンバナイト」というイベントに参加していました。当時の私はすっかりズンバにハマっていて、妊娠後期のお腹でもステップを踏んでいたんです。

👉 結果、翌日は丸一日寝込むことに。「疲れたな〜」程度に思っていたのですが、今思えばあれは重度鉄欠乏による全身の酸素不足でヘロヘロになっていたんだと思います。

妊娠後期+ズンバ+フェリチン10という組み合わせ、今振り返ると完全に体が悲鳴をあげていた証拠。赤ちゃんが無事だったのは本当に幸運でした…。

⚠️ 妊娠30週で鉄欠乏が深刻なワケ

妊娠後期のママの鉄欠乏は、ママ本人だけでなく、赤ちゃんにも直接影響します。産科医から指摘されたリスクはこれ。

  • 🚨 早産リスク:重度鉄欠乏で約1.5〜2倍
  • 🚨 低出生体重児リスク:約1.3倍
  • 🚨 分娩時の大量出血リスク:貧血がひどいと輸血が必要になることも
  • 🚨 産後うつリスク:鉄欠乏は産後の気分に直結
  • 🚨 赤ちゃんの脳発達:鉄は神経発達に必須。生後6ヶ月までの認知発達に影響

👉 「ただの貧血でしょ?」と思っていると痛い目にあうのが、妊娠後期の鉄欠乏。実際、私もこの数字を見るまで「まあ貧血気味かな」くらいの認識でした。

💊 34週での「47 ug/L」まで戻した数字の旅

30週で10 ug/L → 34週で47 ug/Lまで約4週間で4.7倍に回復。計算すると:

  • 1日あたり約 (47-10) ÷ 28日 = 1.3 ug/L ずつ改善
  • Ferrograd C(鉄105mg)を1日1錠 × 28日 = 合計2,940mgの鉄を摂取
  • 体内への吸収率は約10〜15%なので、実際に吸収された鉄は約300〜440mg

👉 「たった1錠の違いで血液数値がここまで変わる」と実感できて、鉄剤のパワーを数字で納得しました。

👉 対策として処方されたのが Ferrograd C(鉄105mg+ビタミンC 500mg)を1日1錠。抗酸化物質と一緒に摂ると鉄の吸収率が上がるという、栄養学的にも合理的な組み合わせでした。

ビタミンDの推移

時期基準値判定
2016/1135 nmol/L>50不足
妊娠17週(2017/08)26 nmol/L 🚨75〜160重度欠乏
妊娠28週(2017/11)115 nmol/L75〜160正常

👉 対策:ビタミンD 4,000 IU/日のサプリ服用。メルボルンは日本より紫外線が強いイメージですが、“Chronic and severe lack of sun exposure”(慢性的かつ重度の日光不足)とカルテに書かれていたのは笑えませんでした。在宅ワーク&マタニティで引きこもりがちだったのが原因だと思います。

糖負荷試験(OGTT)の結果

妊娠26〜28週の検査結果:

時間血糖値基準値判定
0分(空腹時)4.0 mmol/L<5.1OK
60分8.0 mmol/L<10.0OK
120分8.4 mmol/L<8.5ギリギリOK ✅

Normal gestational glucose tolerance test result。妊娠糖尿病は回避できました。ただし120分値が0.1 mmol/Lの差でギリギリセーフ。妊娠後期の糖質はかなり気をつけるきっかけに。


👉 続きは後編へ

前編はここまで。ここまで読んでくださってありがとうございます。

後編では、出生前スクリーニングの数字(1/150 → 1/12,000)と、それを夫にどう説明したかの話、胎児の成長を追った超音波データ、いよいよ出産当日の記録(誘発分娩〜鉗子分娩)、2,670gで生まれた娘の出生時データ、産後のトイレ意識消失事件、そして娘の診断(14番染色体欠損)と「あの妊娠中の鉄欠乏が原因だったのでは?」という母としての自責と、数字で見た医学的事実、までを一緒に振り返ります。

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